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大津塾第36回「キューバの弦楽器トレスとの出会いと現地での文化交流」 末永雄三様(大津高S47年卒)

武田さんは、昭和49年大津高卒業。在校時代はラグビー部に所属し、初めての全国大会に出場したメンバーです。

今までの「会社生活での経験~昭和から平成の時代の中で」を、世界情勢・国内情勢に合わせ、ご本人の会社での取組をわかりやすく説明戴きました。当日の様子をお伝え致します。

 

開催日時:2019年3月23日(土) 17:00〜

 

講師:末永雄三様(大津高S47年卒)

 

 

 <音楽に目覚めてキューバの弦楽器トレスに会うまで>

小学生の頃に、4歳上の兄と小遣いを出し合い280円の「ビートルズ」のシングル盤を買ったのがきっかけで洋楽を知り、深川中に入り高木時計店でフォークギターを買って、最初は簡単なコードを覚えてフォークソングを楽しんだ。

 

高校1年の修学旅行は大阪万博で、「コロンビア」のブースで演奏するバンドのラテン音楽を聴く。中学・高校とバスケットボール部で高校のバスケットボール部で三隅町 沢江の酒屋の息子 宮田君と出会う。彼は素晴らしいギタリストで一緒にバンドを組み、エレキベースを先輩から借りて弾き始める。高3の秋に公民館で長門高校のバンドとも共演した。

 

同志社大学に進み黒人のブルースに強く惹かれ、ブルースバンドを結成しライブハウスや京大西部講堂に出演した。卒業後ロック喫茶を営業し、バンド活動も継続した。

 

1987年初めてキューバを訪問する。(プエルトルコ、キューバ、ジャマイカ、メキシコへ3週間。)。

キューバには、国営のライブハウス「カサ デ ラ トローバ」が各地方にあり「ソン」というサルサの原型となったアコースッテックなダンス音楽を楽しめる。首都「ハバナ」に行き、黒人街の野外劇場「サロン ロサド」で2000人の観客が踊る「オルケスタ レベ」というバンドは10代から70代までの14人編成のメンバー構成で若い観客を虜にしていた。その警護をしている軍人も、カービン銃を持ったまま腰を揺らして踊っていた。なんと楽天的な社会主義!世代を超えたビートに感銘を受け、キューバ音楽を続けてゆきたいと決意した。そのバンドでトレスを弾いていたミュージシャンと後年日本公演の際親しくなり、先生と仰ぐようになりました。

 

その後、様々なバンドを結成1997年には「カリーニョ」というバンドでサンティアゴ デ クーバのフェスティバルに出演しCDを現地録音し発表する。2001年から5年間連続で「ソネス デ オリエンテ」というバンドで同フェスティバルに出演を果たした。その後日本語のオリジナルでソンを表現しようと思い立ち、2012年には、バンド「ラカーニャ」のCDを発表。現在も継続中。15年前から毎月第二日曜に銀座ラスリサスでトレスとソンのギター教室を開催中。

 

<キューバ音楽ソンの背景>

1920年ごろソンが生まれた。その後ルンバ、チャチャチャ、マンボ、サルサなども生まれる。

1789年のハイチからの農園主の亡命と共に彼らのお抱え楽団もサンティアゴ デ クーバに流入し、南北戦争後のニューオリンズからのフランス系移民からのジャズの影響も見て取れる。

ソンはサルサの元になったもの。スペインの海岸線にあるガルシア地方の音楽スタイルや吟遊詩人トルバドゥールが隣町の出来事を即興的に歌い伝える文化と黒人奴隷が持ち込んだコンガなどの太鼓類さらにコール アンド レスポンスという独唱とコーラスの掛け合いで盛り上げる音楽の形態などが混ざり合ったものである。私が演奏している「トレス」は、スペインの船乗りが持ち込んだ「リュート」という6弦の小型ギターを改良したものです。キューバでは、黒人奴隷が、アフリカ音楽を踊り演奏することを、制限されませんでした。トレスは、ボンゴやコンガ等のパーカッションに対抗して小型ギターの音を大きくするために2本づつの複弦の3コースに改良されました。

 

<実演>

①まず復弦となったトレスの音階・音色・特色を披露。

②「グアンタナメラ」という曲を披露。「友達は都会に出てゆくが、私は朝日を浴びながらサトウキビ畑で働く方が似合っているという歌詞。」を言語で披露。

③末永さんのバンドラカーニャのCDに入っている日本語の唄「入船」を披露。「深川港で釣りをしていた時、漁から帰ってくる漁船を眺め浮かんだ詩」を歌にしたもので情景が目に浮かぶようでした。

 

<質疑応答>

①「生活」

 1950年代ハバナはアメリカの歓楽地としてマフィアの経営するカジノや売春宿で賑わうが、サトウキビ栽培のプランテーションにより単一作物の弊害から、飢餓直前の歴史から60年の革命により食料は配給制、医療・教育は無償。

水道管・ガス管などのインフラはソビエト時代のままも多い。

車は、30年代から50年代のシボレーやキャデラックなど時代物を直して使っている。観光がメイン。

 

②「国民性」

 明るく、自分たちで革命を成し遂げたという自負を持っている。

「治安」

 観光メインなので 観光客に対する犯罪には厳しい。麻薬は終身刑。

④「食べ物」

 味付けが塩味で今一つ。揚物もカラカラ。ご飯は豆ごはん。最近は外国資本の美味しいレストランンもハバナ市中にできている。アイスクリームは旨い。

⑤「産業」

 水産業マルハ・三菱が進出。マグロ漁も。伊勢海老養殖も。

⑥「スポーツ」

 野球とボクシングが盛ん特に野球は、アマチュア野球がシステム化されており全国20地区で地区優勝まですべてTV中継されるほど。しかし、優勝するとトップ選手はアメリカに行って帰ってこないので、最近では契約金の一部がキューバに残るようアメリカへの移住を認める方向になる。しかしトランプ政権は認めていない。